4つの特別区で住民サービスの格差が生まれてしまう!
4つに分割された特別区をよく見てください。人口規模では大きな違いはないのですが、人口構成や経済指標で比べたら、予想以上に「格差」が浮かび上がってくるはずです。
今までどこの区に住んでいても、格差がなかったのは、なぜか。それは、大阪市としてひっくるめて運営していたからです。
4つの特別区は、産業基盤や税収が違います。福祉が必要な人口も違います。だから、区によっては、福祉サービスの維持が大きな課題になります。
例えば、新北区は、梅田エリアを抱えて、特別区としては最も恵まれた立地条件にあると言えます。現在の大阪市役所を特別区の本庁舎として活用できるので、新しく建て直す必要もありません。税収はトップで福祉ニーズは低い区域です。
一方で新天王寺区は住宅エリアが中心の区域のため、高齢化率も特別区内で最も高く、税収は少ないため、福祉サービスの維持が課題になりそうです。
新淀川区は固定資産税や法人税は府に行くので、自主財源としての個人資産税の額が特別区の中で最低になります。府と市で進めようとしているカジノを含むIRがこの地に予定されているので、経済面や教育や住環境や防犯など大きな影響を受けることになります。万博の跡地利用もどうなるかは、府が決めることになります。
新中央区は、船場やミナミを含んでいて、税収は北区に次ぐ2番目に高くなります。しかし、福祉人口が多いのも特徴です。このため、福祉を重視する政策が継続できるかどうか、区の財政がひっ迫する可能性もあります。
これまで大阪市は各種の福祉サービス費や生活保護などに支出される民生費は2002年度から2017年度には大きく増加しています。この15年間、土木事業を抑制して財源を振り分けてきたのです。つまり大阪市という大きな器の中で財政調整してきたのです。だからできていたのです。
大阪市の民生費は、今後さらに10年間で2000億円ほどさらに膨らむとの試算があります。少子高齢化が本格的に進むと十分予想されることです。
しかも、それを、自主財源が少ない特別区ごとで高齢化へ対応するのは、中長期的にみても大変厳しいと言わざるをえません。
さらには、特別区ごとの差はだんだん広がることが予想されます。なぜかというと、大阪市内には古い市営住宅や府営住宅がたくさんあり、2025年までにたくさん建設国債で借金をして建て替えた分の返済が必要です。そして、2025年からは、その住宅がその区の区営住宅になり、特別区の借金になるからです。しかも今後もまだ建て替えが必要です。
市営住宅がたくさんある区は、貧しい人や高齢者や障害がある人が入ってきて、福祉に手厚い区だといえます。しかし、その分税収も少ないから、その特別区はもたなくなる可能性があるのです。
障害者や高齢者が安心して暮らせる住宅と福祉があるということは、誇るべきことだと思います。しかし、大阪市が特別区に分割されても、その環境は維持されるのでしょうか。とても、危ういと思います。
新しい区の財政が苦しくなったからといって、障害者や高齢者が他の区へ簡単に引っ越しできるわけではありません。
大阪市は人権と福祉の先進地です。大阪市廃止は絶対にやめさせましょう!
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